BASSLAND

東京葛飾のコントラバス販売専門店『ベースランド』です!商品紹介や修理調整、工房日記など載せています。

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コントラバスの単板と合板の違いについて

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コントラバスやチェロなどの大型楽器では材料となる木材の量も多くなります。

そのため『単板』『合板(ゴウバンもしくはゴウハン)』という言葉が使われることがあります。安価な楽器のグレードの一つとして『合板製』というものが存在するのです。

 

この記事ではそもそも”合板”とはどういうものであるのか、また”合板製の楽器”とはどういったものを指すのか。さらに合板のメリットとデメリットについてお話したいと思います。

(当店での考え方であるため、演奏者の方それぞれで感じ方は違う場合があることをあらかじめ知った上で読んでいただけると幸いです。)

 

 

【合板とは何か】

合板というのはいわゆる”ベニヤ合板”のことです。

写真のような薄い木板(ベニヤ板)を複数枚 熱圧接着した木材を指します。

木材の材質は針葉樹や広葉樹などがあり、変形(ねじれや反り)しにくさ、耐腐食性、耐湿性などいろいろありますがここでは割愛します。

スプルースやメープルの単板に比べて合板は価格が非常にやすく製作コストを大幅に抑えることができます。

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【合板製の楽器とは】

ひとくちに合板製といっても楽器のどの部分が合板であるのかということがあります。

合板が使用される可能性があるのは表板、裏板、横板の三か所です。

数万円で手に入れられるコントラバスにはすべてが合板で作製されているものもあります。初心者の方が使用するエントリーモデルには合板を使用したものが多いです。

オリエンテシリーズでは定番HBシリーズの最安モデルHB-25の裏板・横板。HB-35の横板に使用されています。

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HB-25の表側

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HB-25の裏側

 

【合板楽器の製作方法】

横板に使用する場合は通常の製作方法と同様に熱をかけて板の輪郭に曲げます。

本来の作り方の場合メープルの単板を均一な厚みに削ってから曲げていくため、合板と単板とでそこまで差は大きくありません。

裏板に使用する場合はプレス成型という方法で製作します。裏板のアーチの型に熱をかけながら押し込むことで加圧成型します。

平らな合板を成型するため、経年変化によってもとの平らな状態に戻ろうとします。

 

オリエンテではプレス成型の段階で2種類の合板を貼り合わせることで、時間の経過で変形することを防いでいます。(つまりプレスしながらその形の合板をつくってしまうというようなことです)

また独自のブレンドの接着剤を使用することで、経年変化での剥離のリスクを防いでいます。

 

【合板楽器のメリットとデメリット】

まず合板楽器の音についてお話します。

薄い板が何層にもなって接着されており、木の繊維を直交させる形で製作されている合板は木材の特徴である割れ、反り、縮みの欠点がなく、強度もあり、狂いが少ないという材料です。

変形しにくいということは振動しにくいということであり、響きの伝達の悪さにつながっています。

 

メリット:合板最大の利点はそのコスト面にあります。

加工しやすさ(製作しやすさ)や材料としての価格が安いために楽器の値段を大幅に抑えることができます。

初心者の方が最初に手にする楽器(エントリーモデル)に向いています。またサブ楽器などにもお使いいただけると思います。

合板製となっている場合も横板であればほとんど音に影響が無いように思います。(HB-35など)またあえてこもったような音が好まれる演奏シーンもあるため、合板=音が悪いという考え方は極端であるように思います。

ピックアップやマイクなどで音を拾う場合は合板のマイナス面(音の飛びづらさ)が問題とならないことがあります。

 

デメリット:合板最大の問題点はその音質にあります。

コントラバスにおいては音が外に飛びづらく楽器の中にこもる傾向にあるため、演奏者自身はそれほど感じませんが、観客として聞くとこもったような・詰まったような音に聞こえます。

また合板の特徴として耐久性についても触れておくと、接着剤で張り付けられた板は20年~30年ほどで接着剤が劣化し剥離します。この剥離や割れなどの症状が出た場合、修理は困難であるため楽器の寿命が来たということになります。

 

【当店での合板製楽器への考え方】

まず当店では当然ですが合板楽器について悪いものであると考えてはいません。

楽器選びの際に必要となることは

①きちんと特徴を理解して購入するということ(これは販売店でしっかりと説明する必要があると考えています)

②そしてどのように使用するか。どれくらいで買い替えるかなどを考慮して選んでいくことです。

 

合板は品質が安定しており同じ厚みであるため、クセがなく最初から鳴らしやすい傾向にあります。初心者の方でも弾きやすいと感じられるかもしれません。ちなみに単板よりも重さも軽いです。

合板には確かに寿命がありますが10年~15年スパンで使用するには問題ないので最初の楽器としては選択肢に入れても良いと思います。

ただ単板のように引き込むほどに音が良くなる(育っていく)ということはありませんので注意が必要です。

 

オリエンテで製作されている合板楽器は価格に対しての品質(作りや音)が高く、丈夫であることが特徴です。

当店ではこういった特徴がオリエンテシリーズの商品を扱う理由であり、皆さんにオススメしたい理由でもあります😊