こんにちわ皆さん
コントラバス販売専門店ベースランドです。
最近はコントラバス修理部門を開設して販売とともに修理などの演奏者向けのフォローを充実させていけたらなぁなどと考えています。
今回の記事では、エンドピンの仕組みと構造、音響的効果(専門家じゃないので音響学みたいな詳しさはありませんが😅)タイプ別のメリットやデメリットなどについてお話します。
エンドピンとは
コントラバスなどの弦楽器のお尻の部分に取り付けられている棒状のパーツを”エンドピン”と言います。
演奏者に合わせて楽器の高さを調節するとともに楽器を支えて滑ったり揺れたりするのを防ぎます。また、弦や本体の振動を床に伝える役割も持っています。
エンドピンは専用の”ソケット”と呼ばれるパーツに取り付けられており、さらにソケットは楽器本体下部の内側にある補強用のエンドブロックに開けられた穴に取り付けられています。
早速ですがタイプ別のエンドピンを見てみましょう!😊
ネジ式ソケット
写真は”GRAZIOSO”のエンドピンです。(セット価格9,000円(税抜))
標準的な形で精度もそこそこ良く、材質も一般的なものが使用されています。
この記事での”ネジ式”とはこのようなエンドピンソケットの横から小さなネジが出ていて、回すことでエンドピンを固定できるタイプを指しています。
内部構造(ネジ式ソケット)
固定の仕組み(ネジ式ソケット)
写真でもわかるようにエンドピンには高さを分けていくつかの溝が一周ぐるっと掘ってあり、この溝にネジの先が食い込むことで固定します。
コントラバスの15~20kgほどの重さをネジ一本で支えているのですから大したものです。
※当然ですが溝の無いエンドピンは使用できません。演奏中にガクンと下がって怖い思いをします😱
メリットとデメリット
メリット・・ネジを少し回しただけで固定できるため、慣れれば演奏前に片手で簡単に固定ができます。自分に合った高さがわかっていればその部分の溝を覚えておくだけで毎演奏時に高さが変わらず安定して演奏ができます。
デメリット・・すべてのネジ式に共通することではありませんが、精度が悪い場合に消耗が激しくなったり、ガタツキによって安定しない、雑音が生じるなどの問題が発生します。
コレット式ソケット(グリップソケット)
日本製ブランド『INBLOOM』のグリップソケットです。(ソケットのみの価格29,430円(税抜))
手で握って回すネジ部分や内部のコレット、受け部分は金属製です。
取り付け部分の木材は黒檀の代替材を使用しています。木部の比重は1.2程で木材70:樹脂30の比率の特殊材を使用。吸水率が低く寸法変化が少ないため割れにくい。十分なスペックを持っています。
内部構造(コレット式ソケット・グリップソケット)
固定の仕組み(コレット式ソケット・グリップソケット)
メリットとデメリット
メリット・・エンドピンの四方から均一に圧力をかけるコレット式ではエンドピンを真芯で固定できるためにパーツとの干渉が起こり難くノイズ発生の可能性が少ない
固定位置が溝に左右されないため自由に設定できる。
コレットが消耗しても交換できる。
デメリット・・エンドピンの固定の強さはエンドピンの精度によって大きく左右されてしまいます。なのでエンドピンの材質などを変えたい場合、高価で精度の高い製品を選んで購入する必要があります。
摩擦によって固定するため、しっかり締めないと滑って緩んでしまう危険性がある。
ネジ式とコレット式の違いについて
コレットの部分全体でエンドピンに圧力をかけ、摩擦を強めて固定するコレット式はコレット以外のパーツとの干渉が少ないために雑音が出るリスクが少ないです。
またエンドピンとの接着面積が大きいために楽器の振動を効率的に伝えることが出来るため音質向上が期待できる。
ネジ式はネジが当たっている一点のみで固定しているため、振動効率はコレット式よりは若干劣る。溝があるため固定力は強い
木部分の穴にエンドピンが通っているため、長年使っていると木が摩耗してガタついてくる。
最後に
コレット式、ネジ式にはそれぞれ一長一短があります。ネジ式は従来からあるタイプなのでもちろん優れた製品であることにいまさら疑いはありません。
コレット式エンドピンは価格が高いため、なかなか手を出しずらいと思われるかもしれませんが、当店ではオススメいたします。
コントラバスにおけるエンドピンは音質的に大きな効果をもたらします。
エンドピンにはチタンや真鍮・タングステン・カーボンなどさまざまな材質のものがあり、楽器に合わせて変える楽しさがありますが、コレット式はその効果を増幅してくれる力があると感じています。
是非ご検討いただけると幸いです🙇