こんにちわ!ベースランドです。
コントラバスを始めとする擦弦楽器全般(バイオリン、ビオラ、チェロなど)に使用される”松脂”とはどういったものなのでしょうか。
この記事では松脂とはどういうものか。どんな種類かあるのか(また特徴など)についてお話します。
松脂とは
松脂の正体
”松脂”とは”松の脂(あぶら)”と呼ばれるように、松から出た樹液を固めたものです。
樹液から揮発性成分(蒸発しやすい成分)がなくなって残ったものを樹脂と呼びます。松の樹脂を加工して作られたのがこの”松脂”なのです。
樹脂は結晶成分なのでもろく簡単に砕けてしまいます。そこでひまし油などで延ばして固め、柔軟性を持たせています。
松脂の役割
楽器の弦と弓の毛をこすり合わせるだけでは摩擦が小さすぎるために音があまり出ません。
そこで松脂を毛に塗る必要があります。毛の芯にしみこんだ松脂の結晶は表面に無数の突起を作り、それが弦をひっかくことによって一定につながった音が鳴ります。
楽器によって音域(弦の太さや必要な振幅)が違うため松脂はその楽器専用のものが用意されています。※例えばコントラバスは弦が太く、音は低い、楽器も大きいためにより大きく弦を振動させる必要がある。
松脂の種類
初心者向けの松脂
カールソン or ニーマン
ド定番の松脂です。初心者からプロまで幅広く使用されています。
中高生の吹奏楽部などでの使用率はとても高く迷ったらこれにすればいいといえる品です。
年中使用硬さで、ハードタイプとソフトタイプの中間のような硬さです。
塗りやすく、楽に大きな音が出せるために初心者にお勧めといえます。
冬場は固くなる場合もあるため、ソフトタイプを別に持っているとなお良いです。
夏場は塗りすぎてしまうことがあり、毛の表面で松脂が塊になってしまうとひっかからなくなることがあるので注意が必要です。
お値段も3000円(2024年2月現在)とお手頃です。※ノイマンは少し安いです。
カールソンとノイマン(ニーマン)は同じような紫のパッケージで同じスウェーデン製ということもあり中身が同じなのではとも言われています。
実際に同じような使用感ではありますが、ニーマンのほうがやや硬いような・・・
お店にある方を買えば問題ないです🙋
ポップス(現在は入手困難)
こちらも初心者におすすめなアメリカ製スタンダート松脂です。
一時期ブームとなり現在も根強いファンのいる松脂ですが残念ながら生産が終了しております。もしどこかで見つけることがあればぜひ手にしてほしい松脂です。
非常に柔らかくひっかかりが強くレスポンスが良い松脂です。
その柔らかさゆえに夏場はつけてしまうことがあり、管理には注意が必要です。
代替品として全く同じではありませんがこちらの松脂を紹介します。
アルゼンチン製のタンゴ用松脂『ユンバ』です。
ポップスより柔らかく持っただけで変形してしまうために塗る際にはコツがいります。紙製のケースからシリコンケースなどにうつさないとぐしゃぐしゃになるかもしれません。
細かいパッセージを引くためにとても引っかかりが強く、レスポンスが良いです。
コルスタイン
初心者向けの松脂としては高級な部類に入ります。ハード(H)、ソフト(S)、オールウェザー(AW)の3種類があり、金色のパッケージの表にそれぞれの刻印があります。
カールソンよりもやや柔らかめのソフトはひっかかりも強く使いやすいです。
オールフェザーは夏冬選ばずに品質が安定しているため日本の気候を考えると良い選択です。
夏場に固めを使いたい方はハードを選びましょう。
全体的に粒子が整っているために滑らかで演奏しやすいです。
シリコンケースに入っていて使いやすく汚れにくいのもポイントです。
価格はややお高くなっています😓
色々な松脂
ペッツ
オーストリアの老舗松脂メーカーPetz社の製品です。
こちらのコントラバスを弾く熊のイラストと緑色のケースでお馴染みのBASS松脂は古くからの愛用者が多いことで知られています。
とにかく価格が安い(1200円 2024年2月現在)ために初心者向けのように思われがちですが、硬めでやや音が出しずらいこともあり初心者にはお勧めしません。
(ソフトは冬でも硬くなりすぎずある程度使いやすいです。)
コントラバス用には3種類の硬さがあり、②冬用(ソフト)③ミディアム④夏用(ハード)を選べて便利です。
価格が3000円に上がり、品質がグレードアップした”プレミアム”という商品もあります。
ミラン
写真はこちらから引用しています(https://x.gd/tzfaj)
黒猫の愛称で呼ばれるネコのパッケージが特徴的なフランス製の松脂ミランです。
ライト、ダークとあり写真はチェロなどでも使用されるダーク(バス用というわけではない)
コントラバス用の松脂と比較すると粘りはないが、引っ掛かりが強く張りのあるサウンドが得られる。
やや硬めで中・高音域を美しく滑らかに響かせることができる。
ピラストロ
写真はこちらから引用しています(https://x.gd/vag7e)
弦の製造で有名なドイツのピラストロ社が製造する松脂
弦に合わせて松脂を製造するなど、多種多様で品質の高い松脂のシリーズから数はこれだけとなりますがコントラバス用の製品です。
引っ掛かりは強いですが軽めのタッチで明るい音色が得られます。
レザーウッド
写真はこちらから引用しています(http://quattro.shop-pro.jp/?pid=151700401)
[Leatherwood Bespoke Rosin] レザーウッド ベスポーク ロジンAmber Range コントラバス用松脂
オーストラリアの演奏家でもあるAndrew Baker氏による極上の松脂です。
近年開発されとても話題となっています。
通常の松脂の3倍ほどの価格ではありますが、とにかく質が良く、引っかかりの良さ、滑らかさ、塗りやすさ、均一で厚みがあり倍音豊かなサウンドは価格に見合ったものはあると思います。
ります。
バリエーションは5種類あります。パーセンテージは中に入っている柔らかい成分の比率です。
20% 固め
30% 少し固め
40% 中間
50% 少し柔らかめ
60% 柔らかめ
レザーウッドロジン ベース
さきほどのべスポークがどちらかというとソロ向けなのに対してこちらはオーケストラなどの重奏向けとなります。
安定した引っ掛かりの強さと滑らかさ、パワーのあるサウンドで弦のノイズも抑えてくれます。
通常の松脂の2倍ほどの価格はしますが初心者の方からプロの方まで幅広くおすすめの松脂となります。
より寒い地域用に粘りを強くしたエクストラも存在します。
オールドマスター
アメリカ製の松脂。1500年代の伝統的な製法を再現し、手作りされています。
引っ掛かりがしっかりしており、ある程度柔らかいが溶けるような感じはなく塗りやすい松脂です。
粒子が細かいためにしなやかに引っかかる感じがあります。上品で繊細な表現ができる一方でやや滑る印象があり、吹奏楽などには向かないと思われます。
世界的なコントラバス奏者ゲイリー・カー氏が大絶賛した松脂です。
特殊な松脂
スーパーセンシティブ クラリティ
稀に松脂アレルギーの方がおり自身でも気づいていない場合がありますが、演奏中に手が痒くなったりする場合には検査の上、こちらの松脂をご検討ください。
新素材ハイドロ・カーボンを使用したノンアレルゲンの松脂です。
冬用、夏用の2タイプが良いされています。
松脂の使い方
保管方法
使用後は蓋をしましょう。表面が乾燥することで粉っぽくひっかかりの悪い松脂となってしまいます。
落下や衝撃に注意です。松脂はやはり脆いので欠けたり砕けたりしやすく、小さいかけらは使用することが難しいです。ケースの中にスポンジなどを入れておくと万が一落としたりした際に松脂を衝撃から守ってくれます。
高音になる場所には保管しないでください。夏場に車やアタッシュケーズ、ハードケースなどに長時間おいておくと溶けて変質してしまうことがあります。
ケースや布とくっついてつかえなくなることもあるために注意が必要です。
使用方法
1か所を当て続けないようにしてください。
円形の松脂は持ちずらいとは思いますが、弓毛にこすりつける際に手の中で回しながら松脂の一面全体が当たるように使用してください。
1か所が溝になってしまうと、毛がひっかかって切れてしまったり、そこから割れてしまったり、最後に小さく残って捨てることになったりします。
寿命
松脂の原料となる樹脂やオイルは空気に触れることで劣化していきます。
極端に毛につきづらくなったり、引っ掛かりが悪くなった場合は買い替えましょう。
私個人の体感ですが、正しく使用していて5年くらいが寿命であるように思います。
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