みなさんこんにちわ!ベースランドです。
オリエンテの定番『HBシリーズ』には価格別に複数の機種が存在します。
2023年現在HB-25(メーカー希望小売価格275,000(税込))からHB-35,45,55,65,80,130までの7機種です。※数字は税抜きの定価を表しています。
メーカーカタログや店頭で商品を見ても違いがわからない部分もありますのでこちらの記事ではそうした作りや材料の違いについて説明したいと思います。
なお、その他のBSやSVシリーズについても基本的に同じです。
カタログ表記について
HB-25 | 表板:スプルース単板 裏胴:合板 指板:塗り |
*入門に最適 *くせのないプレイ感 |
250,000円(+税) |
HB-35 | 表板:スプルース単板 裏:メイプル単板 胴:メイプル合板 指板:黒檀 |
350,000円(+税) | |
HB-45 | 表板:スプルース単板 裏胴:メイプル単板 指板:黒檀 |
*オール単板 | 450,000円(+税) |
HB-55 | 表板:スプルース単板 裏胴:メイプル単板 指板:エボニー |
550,000円(+税) | |
HB-65 | 表板:スプルース単板 裏胴:メイプル単板 指板:エボニー |
650,000円(+税) |
まず表板、裏、胴(横板のことです)それぞれに材料名が表記されています。
【低価格モデル】
HB-25、35などの低価格モデルにだけ見られる”合板”とはこちらの画像のような”ベニヤ板(薄い木の単板)を繊維を交差させて張り合わせたもの”のことを指します。
オリエンテでは合板は横板もしくは裏板にしか使用されません。
これらは構造上彫り込むことが出来ないため、”プレス”呼ばれる方法で熱をかけて裏板の形に成型します。
合板は繊維を交差させているため、横に引っ張る力には強い性質がありますが薄いため垂直方向の力には弱い。
繊維にそって割れる単板と違い、合板は複雑に崩壊を起こすため基本的に修復はできない。
板の厚みが均一で薄いため、よく言えば振動を伝えやすく鳴り易い、悪く言えば振動しすぎて音色に雑味がでてしまう。
HB-25の指板のみ”塗り”と呼ばれる”染色指板”が使用されている。
メープルなどの堅木を削り、表面を油性塗料や漆塗料などで黒く染色したもの。
黒檀に比べると柔らかく、少し変形しやすいがキチンと調整されていれば使用には問題ない。
丁寧に塗られていれば遠目には見分けがつかない。
【中価格モデル】
HB-45以降のモデルで材料が”オール単板”となっている。※すべて”単板”を使用しているという意味
”単板”とは字の通り木材を貼り合わせていない単一の木材の板の事である。メープル単板は裏板の形に近くアーチ成型した木材を切り抜き、削って厚みを整えたものである。
合板との違いは削り調整によって厚みに差をつけていることである。中心は厚く、フチは薄くすることでより効率的に裏板に振動を伝え、余分な雑振動を吸収し、クリアで伸びのある音色を再現できることにある。
また繊維に沿って割れた場合には修理によって接着することで割れる前とそれほど変わらない状態に修復可能である。
指板の表記”黒檀””エボニー”とあるが、これは日本語表記と英語表記の違いである。
黒檀は産地などによっても品質が大きく異なるが、オリエンテシリーズでは大体同じくらいの品質の材料を使用している。
【高価格モデル】
HB-80からのモデルで”削り出し”という表記が登場する。
バイオリンと同様に大きな木のブロック材から裏板のアーチの形状に削って取り出したものである。
コントラバスの板となれば相当に大きく、その大きさまで成長したメープルの木材自体が貴重である。
職人が時間をかけて一からすべて削るため、材料を見極めそれに合わせて厚みを細かくコントロールすることができ、より洗練された音色が得られる。
作りの違いについて
HB-25
この機種は横板と裏板が合板製となっています。
パフリング装飾が施されています。”パフリング”とはフチよりやや内側に溝を掘って埋め込まれた黒い二重ラインの象嵌細工のことです。
本来板がフチからの衝撃で割れる場合にその部分で割れを止めてくれる役割があります。
合板はパフリングを埋め込むことができないため、HB-25には変わりの彫り彫刻が施されています。パフリングほどの効果はありません。装飾としてアウトラインを引き締め楽器全体を美しく見せる効果があります。
HB-35
この機種は横板のみ合板製となります。横板に関しては単板、合板どちらでも厚みがそれほど変わらないため、裏板合板ほどのデメリットはありません。
またこれ以降の機種はすべて通常の”パフリング”が入っています。
HB-45
”アウトライニング”と呼ばれる外側の補強が入ります。これにより内部の機密性が高められ、楽器全体の強度が増します。また雑振動が抑えられしっかりとした音程感のあるサウンドが得られます。
HB-55以降
作りに大きな違いはありません。HB-45を基準に材料が価格に応じてグレードアップしていきます。
HB-45に対してネックの首部分付近の表板アーチが丸く成型してあります。(45がネックまでつながっているのに対して)
こちらは音質的な差はほとんどありません。作業工程上の違いによって生まれたものです。
それ以外の要素について
ペグマシン・・・基本的にはプレート型と呼ばれるペグボックスの側面全体を覆う金属プレートにギアが取り付けられたものを装備しています。
オプションとしてセパレート型に変更して作製可能です。
エンドピン・・・エンドピンはHB25,35のみ12mm径のものが付いています。こちらは先端がゴムでおおわれており取り外せません。また長さがやや短いため185cmを超えるような高身長の方は長いものに交換する必要がある場合があります。
以降の機種については先端が針になっており、ゴムキャップが取り外し可能な10mm径の物が付いています。長さがやや長いです。
材料の違いについて
木材には牛肉でいうようなA5ランクのような評価基準は無いため、コントラバス用材として使用した場合にどうかという基準をもとに評価します。
具体的に良いとされている評価基準は以下の通りです。
【表板】
①木目の幅が狭い(キメが細かい)
②木目の幅が等間隔
③木目の歪んだ箇所が無く、まっすぐきれいに通っている。
④よく乾燥している(比重が小さい) ※水を1.0とした時0.46
⑤密度が高く、強度があり、柔軟性に富む
HB-65/MB-30
BL-80/FOオリジナル
HB-35
【裏板】
①程よい硬さ
②美観に優れる(杢がきれいなもの)
③節がない
④木目の曲がりや波が少ない
⑤よく乾燥している(比重が小さい) ※水を1.0とした時0.67
HB-45/HB-65
BL-80
材料の乾燥について
楽器に使用する木材は最低5年くらい寝かさないと使用できません。水分が多いと音が抜けずにこもります。強度も弱く柔軟性もありません。また乾燥によって急激に変形してしまうため楽器の状態に成型してもその形を保つことが出来ません。
15~30年寝かせた材料はかなり良質と言えます。細胞が結晶化をおこし硬化します。
それ以上となると古材となりますのでレギュラーのシリーズには使用されません。特別なモデルに使用される可能性があります。
材料については産地が異なる可能性はありますが、木自体が違うということはありえませんのであらかじめご承知ください。品質は同機種で同じくらいになるように選別しています。
上記の条件をすべて満たした材料が最上クラスだとすると、機種のグレードが上がると材料のグレードも最上クラスに近づくように上がっていくということです。
BL-80/HB-35
HB35は合板であるため板目(年輪と平行)と呼ばれる方向にカットした材を使用している。杢は現れずのっぺりした見た目となるため見分けることが出来る。
BL-80/HB-65
杢があるネックが必ずしも材料として優れているわけではないが美観には優れる。(好みの差は当然ありますが)
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