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東京葛飾のコントラバス販売専門店『ベースランド』です!商品紹介や修理調整、工房日記など載せています。

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コントラバス内部の”魂柱(こんちゅう)”とはどんなもの?

 

皆さんこんにちわ!ベースランドです。

この記事ではコントラバスの内部に立っている”魂柱”とはどのようなもので作られていて、どんな役割をもっているのかについてお話します😌

 

 

魂柱(こんちゅう)とは?

魂(たましい)の柱(はしら)と書いて魂柱と呼びます。字の通り楽器の命ともいえる重要な存在であり、音色を決定する重要な要素の一つでもあります。

英語では”サウンドポスト(音の柱)”と呼びます。

擦弦(さつげん)楽器の場合

コントラバスを始めとする擦弦(さつげん)楽器の一部(ヴァイオリン属の楽器やリュートなどの古楽器の一部)にはこの魂柱が取付られています。

弓毛で弦をこすることで音を出す擦弦楽器はこすり続けることで連続した音を出し続けることができます。

しかし弦を擦る振動だけではエネルギーが少なく、音量が十分ではない為に響胴によって振動を増幅する必要があります。

弦から駒、表板へと伝わった振動は横板を通じて裏板へと向かいますが、弱いエネルギーでも振動するように薄く削られた横板は振動を裏板へ伝えきるには薄すぎます。響胴全体を振動させるにはエネルギーが足りない状況になります。

そのために表板と裏板を直接”魂柱”でつなごうと考え出されました。

それならば木の塊もしくは木をくり抜いた響胴でいいのでは?とも思えますが修理が難しくなるうえに質量が大きすぎて振動を吸収してしまうと思われます。



撥弦(はつげん)楽器の場合

撥弦楽器には魂柱は使用されません。

撥弦楽器は弦を直接手ではじくために弦の振動はある程度大きくなります。

振動のエネルギーははじいた瞬間にしか生まれないために響胴で増幅されたのちに吸収されて消えていきます。

ギターなどの楽器は体の一部や衣服が楽器の一面に接している場合が多いために裏板と表板を魂柱でつないでしまうと、接触してミュートされた裏板が魂柱を伝って表板の振動も吸収してしまう可能性があります。また魂柱自体が表板を押さえて振動しにくくしてしまう可能性もあります。

ギターなどの楽器は板が振動しやすくするために平らな響板を使用していますが、フラットなボディーないに魂柱を立てるのは難しく、すぐに倒れてしまうでしょう。

 

魂柱はどうやって作られている?

魂柱の材料

”魂柱”は表板と同じスプルースと呼ばれるマツ科の木材でできています。

表板の年輪と互い違いになるような年輪の向きで上下が木口となるように削りだした丸い木の棒です。

ある程度太さの基準は決まっていて、コントラバスでは19~20mm、バイオリンでは6.0~6.5mm程度が一般的とされています。

魂柱の立て方

”魂柱”は”魂柱立て”という専用器具を使って職人が一本一本立てています。

表板が閉じられている響胴内部を直接見渡すことはできないために、F孔の穴やエンドピンの穴からミラーなどを駆使して表・裏板の裏側と隙間なく合わさっているかを確認しながら削り、長さを調節していきます。

魂柱立ての先に魂柱を刺し、内部に引っ掛けるようにしてはさみます。

魂柱の役割

魂柱には表板の振動を裏板へと伝える役割があります。魂柱がなければ表板や横板しか振動しないために音量は小さくなります。また表板全体の振動を適度に矯正して雑音を吸収しているため、魂柱がないと締まりのない音(基音がはっきりとしない音)となります。

また弦のテンションによってかかる表板のアーチへの圧力から支えて響胴がつぶれるのを防ぐ役割も持っています。

このことから魂柱の表・裏板への圧力(どれだけ強くはさまっているか)や角度、位置などによって音の響き方に大きな影響を及ぼします。

 

魂柱の調整について

魂柱は楽器のパーツの一部ではありますがテールピースや顎当てのようなパーツとは性質が異なります。

駒などと同様に職人によって調整のうえで取付られるパーツであり、消耗品です。

商品として売られている楽器には最初から魂柱がついているため、なんとなくかたくて外れないような気がしたり、接着されているようにも見えますが挟まっているだけです。

強い衝撃や季節の変化(湿度による楽器全体の膨張・収縮)、魂柱自体の変化(乾燥によって短くなる)などによって調整が必要となります。

楽器店では長さを測って交換の目安とすることもできますし、音が悪くなった(楽器がよく鳴らなくなってきた)と感じたら相談してみましょう🙋

 

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コントラバス販売専門店 ベースランド

www.bassland-oriente.com


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